厚みのある情報でM&A後の姿をイメージ スケールメリットで共に企業価値が向上

質の高い教育体制を特徴とし、グループネットワークによる安心の警備を展開しているサンエス警備保障株式会社が、大阪府の警備会社・臨海パトロール株式会社とのM&Aを成立させた。M&Aを検討した背景、ACN経営研究所にM&Aサービスを依頼した理由、M&A後の変化、そして今後の展望について、代表取締役 大野 淳史氏に話を聞いた。

M&Aを検討した背景

  • 大阪エリアをさらに強化したいと考えるようになった。
  • ACN経営研究所から大阪府の譲渡希望会社の提案をしていただいた。

企業紹介・経営者の思い

23歳で会社を設立し、今や売上340億円(2025年10月時点)の大企業へ

事業承継を考えるようになったとき、多くの経営者は、誰にも言えない不安を抱え始めます。

「この会社を、ここまで育ててきたのは自分だ」

「けれど、この先も同じように守り続けられるだろうか」

社員の顔、取引先との関係。それらが頭に浮かび、簡単に答えが出ないことを、私たちは知っています。

私自身、もともとは千葉県内の警備会社で、現場に立つ一人の社員でした。経営者になるつもりで現場にいたわけではありません。ただ、目の前の仕事に向き合い、人の安全を守る責任を背負う日々がありました。知人から「警備会社を立ち上げるので手伝ってほしい」と声をかけられたことが、人生の転機でした。創業期の混乱と苦労を間近で見ながら、「会社を動かすとはどういうことか」「人を預かるとはどういうことか」を現場で学び、3年間の勤務を経て独立を決意します。

1996年6月、資本金300万円、 サンエス警備保障は、文字どおり何もないところから始まりました。社員も少なく、私自身が現場に立ち続け、交代要員が足りず、3日間ほとんど眠らずに現場を守ったこともあります。会社を続けることだけで精一杯だった時期です。それでも、「人を軽く扱わないこと」「現場を疎かにしないこと」だけは、一度も手放しませんでした。

信頼は、帳簿の中ではなく、現場でしか生まれないと信じていたからです。その積み重ねの結果、現在では、売上340億円、全国55拠点、7,000名を超える従業員、20社のグループ会社を擁する体制へと成長しました。施設警備、交通誘導警備、イベント警備、道路規制、空港保安警備など幅広い警備領域に対応し、さらにビルメンテナンス事業など関連分野にも事業を広げています。

グループ全体としての売上高も年々拡大し、安定した事業基盤を築いてきました。しかし、規模が大きくなった今でも、経営者として向き合う本質は変わりません。

「この会社を、自分がいなくなった後も、本当に任せられるのか」

だからこそ私たちは、M&Aを「事業を買収する行為」だとは考えていません。それは、経営者が長い時間をかけて背負ってきた責任を、次の世代が引き受ける決断だと考えています。譲渡を決断されるまでに、どれほど迷い、考え抜いてこられたのか。その時間と覚悟に、私たちは最大限の敬意を払います。やり方を一方的に変えることはしません。まず、その会社がなぜその形になったのかを理解することから始めます。

社員が、翌日も変わらず現場に立てること。

取引先が、「これまで通りだ」と感じられること。

そして何より、譲渡を決断されたオーナーが、少し時間が経ったあとに、「この会社を任せてよかった」と思えること。

会社を「売る」のではなく、人生の一部を託すという選択。

その重さを理解できる存在であり続けたい。

それが、サンエス警備保障が譲受企業として目指している姿です。

M&Aを検討した背景

大阪エリアをさらに強化し、シナジー効果を期待

「今ある体制のまま、どこまで応え続けられるのか」という問いに直面することがありました。

当社は大阪市内に支社を構え、施設警備を中心に関西エリアでの事業を展開してきました。ありがたいことにご相談やご依頼も増えていく一方で、支社単体の体制では、すべての新規案件に十分に応えきれない場面も生じていました。

お声がけいただいた案件をお断りせざるを得ない状況に、経営者として心苦しさを感じていたのも事実です。だからといって、拠点や人員をただ増やせばよいとは考えていませんでした。現場の品質や社員の負担を犠牲にしてまで、無理な拡大をするつもりはなかったからです。

「関西エリアをどう強化するか」は、慎重に考え続けてきたテーマでした。

そうした折、ACN経営研究所の担当者から、大阪府高石市に拠点を置く臨海パトロールの譲渡についてご紹介をいただきました。単なる案件紹介ではなく、「もしニーズが合えば、一度検討してみてはどうか」という、私たちの状況を踏まえたお声がけでした。

臨海パトロールは、地域に根差した警備体制を築いており、大阪府内でのエリア展開という点において、当社との親和性が高い企業でした。既存の大阪支社との連携によって、現場対応力の向上や人員配置の柔軟性など、現実的なシナジーが描けると感じたことが、前向きに検討を進めるきっかけとなりました。

無理に広げるのではなく、必要な場所で、必要な形で、確実に支える体制を整えること。その考え方が、今回のM&A検討の出発点でした。

ACN経営研究所に任せようと思った理由

3回以上のトップ面談でM&A後の認識をすり合わせ。
厚みのある情報で精緻なディール運営を実施

M&Aは、条件が整えば進められるものではありません。特に、事業承継が絡む案件では、「誰と進めるか」が、その成否を大きく左右すると感じています。

ACN経営研究所の担当者とは、約6年前からM&Aのご相談を通じてお付き合いがありました。短期的な案件だけでなく、節目ごとに経営の相談を重ねてきた関係性があり、互いの考え方や判断軸を理解できていたことが、最初の安心材料でした。

これまで、複数の仲介会社と接する中で、担当者が途中で変わってしまったり、ディールの終盤になって突然条件が変わるといった経験もありました。そうした場面では、「本当にこの話を任せていいのか」と、不安を感じてしまうことも少なくありませんでした。

その点、ACN経営研究所は、最初から最後まで一貫した姿勢でディールを進めてくださいました。表面的な条件だけでなく、背景やリスクも含めて情報を整理し、精緻かつ丁寧にプロセスを組み立てていく。その進め方に、経営者として信頼を置くことができました。

特に印象に残っているのが、トップ面談の進め方です。多くの仲介会社では、トップ面談は1回で終わることが少なくありません。しかし、ACN経営研究所では、3回以上のトップ面談を重ね、譲渡企業の経営課題や管理体制、どのような支援を必要としているのかといった点まで、丁寧にすり合わせていきました。

その結果、数字や資料だけでは見えてこない、経営者の考えや現場の実情まで含めた、厚みのある情報が共有されました。また、都合の良い話だけでなく、懸念点や課題についても正直に伝えていただけたことは、意思決定を行う上で非常に大きかったと感じています。

柔軟に対応していただける姿勢と、率直なコミュニケーション。

「この人たちとなら、最後まで腹を割って話ができる」

そう思えたことが、ACN経営研究所にお願いする決め手でした。

ACN経営研究所の担当者の印象的な対応

譲渡企業に寄り添い、信頼関係を構築。
M&A後の具体的なイメージが浮かぶ

ACN経営研究所の担当者と接する中で、強く感じたのは、常に譲渡企業の立場に立って物事を考えているという姿勢でした。譲渡企業の社長と深い信頼関係を築いていることは、やり取りの端々から伝わってきました。

 単に事業内容や数字を把握しているだけでなく、

「どんな人柄の経営者なのか」

「なぜM&Aを考えるに至ったのか」

「M&A後、どんな会社でありたいのか」

といった、言葉にしづらい部分まで丁寧に聞き取ってくださっていました。そのうえで共有される情報は、非常に解像度が高く、M&A後の姿を具体的にイメージできるものでした。

実際にお会いした臨海パトロールは、事前に聞いていた印象と大きな違いはなく、「聞いていた通りの会社だ」と感じられたことは、判断をするうえで大きな安心材料でした。また、担当者は私自身の人柄や考え方についても深く理解したうえで、当社の姿勢や価値観を譲渡企業に丁寧に伝えてくださいました。条件や規模ではなく、「この相手となら任せられるか」という視点で、双方を厳しい目で見てくれていることが伝わってきました。

フットワークが軽く、連絡もこまめで、 時には食事の席を設けてくださることもありました。形式的なやり取りに終始するのではなく、人と人とのつながりを大切にしている。その人間味に、自然と安心感を覚えました。相手企業の課題についても、良い面だけでなく率直に共有してくださいます。

その課題を当社が補うことで、譲渡企業がより良くなり、結果として当社の価値も高まる。そうした関係性を描いたうえで進められたM&Aだったと感じています。

M&Aはゴールではなく、スタートです。

両社がこの先も信頼関係を築き、共に成長していけるかどうか。

そこまで見据えて伴走してくれる存在だったことが、ACN経営研究所の担当者が印象に強く残っている理由です。

最終的にM&Aを決めた背景

決め手は「誠実な人柄」
信頼関係を構築し共に成長できる企業と合意

M&Aを進めるうえで、最終的に背中を押すものは、条件や規模ではなく、「人として信頼できるかどうか」だと考えています。

グループ企業として長く共に歩んでいく以上、

経営者同士が同じ方向を向けるか、社員の将来について同じ温度感で語れるか。

そこに確信が持てなければ、どれだけ条件が整っていても決断はできません。

私たちが何より重視しているのは、誠実さです。目先の利益ではなく、従業員のこれからを真剣に考えているかどうか。その姿勢は、言葉よりも、対話の中で自然と伝わってくるものだと思っています。

臨海パトロールの社長とお会いする中で、一貫して感じられたのは、その誠実な人柄でした。若手経営者でありながら、社員や会社の将来について真摯に向き合い、「この会社をどう良くしていきたいか」を自分の言葉で語られていたことが、強く印象に残っています。

私たちは、M&Aを決断する前に、必ずACN経営研究所のコンサルタントにも同席していただき、譲渡企業の社長と食事の席を共にする機会を設けるようにしています。肩書きや立場を離れ、同じ経営者として話をすることで、お互いの価値観や距離感を確かめるためです。

そうした時間を重ねる中で、

「この方となら、信頼関係を築きながら一緒に成長していける」

そう感じられたことが、今回のM&Aを最終的に決断した理由でした。

会社同士の統合ではなく、人と人との合意。その土台があってこそ、M&Aはスタートラインに立てるのだと、私たちは考えています。

M&A後の変化

グループのスケールメリットで業績向上。
ゆくゆくは全国展開も

臨海パトロールとのM&Aから、約1年が経ちました。時間が経った今、改めて感じているのは、無理のない形で、確かな変化が生まれているということです。グループに加わったことで、まず活かせたのが、それぞれの強みでした。

当社の大阪支社は施設警備を中心に展開しているため、臨海パトロールには、これまで培ってきた建設会社向け警備を主に担ってもらう体制としました。役割を明確に分けることで、現場の混乱もなく、スムーズな連携が実現しています。

ちょうど大阪・関西万博の開催を背景に、関西エリアでは警備員のニーズが大きく高まっていました。グループ会社としての信用力や対応力が評価され、臨海パトロールにおいても新たな受注が増え、受注が増えるなど、業績面でも手応えを感じています。

また、管理面でも変化がありました。

当社の管理システムを活用することで、業務の効率化が進み、これまで負担となっていた業務の効率化が進み、管理面の負担軽減につながっています。特に大きかったのは、臨海パトロールが抱えていた経営上の課題が改善に向かったことです。

M&A以前は、社長を含む2〜3名で24時間体制の運営を担っており、責任が一人に集中しやすい状況でした。グループ入り後は、当社大阪支社によるバックアップ体制を整え、電話対応の転送なども含めて、社長一人が背負い込まなくて済む運営へと移行しています。

最近、臨海パトロールの社長とお会いすると、以前と比べて表情が明るくなったと感じることがあります。肩の荷が下り、経営に向き合う余裕が生まれたのではないかと感じています。関西エリアには、大阪支社のほか奈良県にもグループ会社があります。同じ地域で事業を行う仲間として、相談や情報交換ができる関係性が築けたことも、双方にとって大きな意味を持っています。当社にとっても、警備のご依頼に対して、以前より柔軟で幅広いサービス提供が可能になりました。結果として、クライアントからの評価や満足度も高まっていると感じています。

M&Aは、ゴールではなくスタートです。

今回の経験を通じて、事業をつなぎ、強くしていく一つの選択肢として、M&Aの可能性を改めて実感しました。今後は全国展開も視野に入れながら、日本全国の警備ニーズに応えていきたいと考えています。その過程で、価値観を共有できる良い出会いがあれば、M&Aも前向きに検討していくつもりです。

 

譲渡企業

企業名
臨海パトロール株式会社
所在地
大阪府高石市
事業内容
施設・交通警備
売上高
約4億円
M&Aの検討理由
経営の安定化のため

譲受企業

企業名
サンエス警備保障株式会社
所在地
千葉県千葉市
事業内容
交通誘導警備、施設警備、保安警備、列車見張、ビルメンテナンス
売上高
約340億円
M&Aの検討理由
大阪エリアの強化のため